塾講バイトという泥沼
タバコの記事で軽く触れたが、私は現在とある個別指導塾の講師としてアルバイトをしている。
そして私はその労働環境に非常に満足している。
私は大学一年生の秋頃にこのアルバイトを始めたため、もうじき1年が経とうとしているが、社員や同僚との人間関係のトラブルもなく、生徒とも雑談を交えながら楽しく交流しており、「アルバイトとはこんなに楽しいものだったのか」という感想を抱いている。
無論どこのアルバイトもこんなに楽しい訳がない。私のアルバイト経験は現在勤めているところだけなので、世間的に言われる「お金を稼ぐことの難しさ」だの「社会の厳しさ」だのは全く学べていない。だがそんなことは今後の人生で学んでいけば良いし、第一、楽しんで金を稼げるのならそんなに良いことはないだろう。
私の生徒には高校生もおり、アルバイトをしている者もいる。高校生のアルバイトといえばやはり飲食店が一般的だ。
やはりというべきか、飲食店のバイトは過酷なようだ。何がって客である。冷房が効きすぎだとか料理をだすのが遅いだとかは日常茶飯事で、酷いものだと水道水の味にケチをつけ店員をサンドバッグにするのだそうだ。
要領の悪い私には絶対に務まらない。私は「塾講師のバイトでよかったなァ...」と思いながら、生徒の愚痴を聞いている。勿論その時間にも給料は発生しているし、私は他人の身の上話を聞くのが好きなので苦にもならない。
そんな良いことずくめかのように思われる塾講師のアルバイトが何故泥沼なのか。
それは良いことずくめだからである。
塾にいる間、私は「先生」になる。そして、慕われているんだか慕われていないんだかは知らないが、生徒にやたらめったら話しかけられる。自分に懐く子供は当然可愛いと感じるし、彼らともっと話したいという欲が生まれる。自己顕示欲が満たされないと言ったら嘘になるだろう。ある日はゲームの話、ある日は学校の話、話題は尽きることはない。
ここが塾講師のバイトの沼なのだと思う。
偏見ではあるが、塾講師のアルバイトのシフトに沢山入っている人は自己顕示欲の高い人間だ。生徒とふれ合うことが自分を認めてもらうことに繋がるのだ。
中には、授業もないのに来塾し、生徒に勉強の調子はどうだとか最近うまくいっているかだの聞く者までいる。指導熱心なのは大変結構なことだが、自分の調子はどうなのだろうか。
聞いた話によると、うちの塾は生徒からバイトに、バイトから正社員になるというパターンが多いのだそうだ。最早一種の宗教である。恐らく、前述した彼も将来正社員になるだろう(これは完全に私の予想であるが)
私はどうかというと、生徒も同僚も、正社員の方も良い人ばかりなので、今後もお世話になろうと考えている。
とはいえ、その居心地の良さに甘え、シフトを入れまくったり、正社員になろうと考えたり(正社員は中々収入が厳しいらしい)はしないように気を引き締めなければならない。
大学はなんだかんだで勉強をする場なのだから、居心地のよいバイト先に居場所を求めたりせず、自分の人生を切り拓く準備期間にしていくべきなのだ。
なんだか説教臭い締めになってしまったが、私の文章を嫌いになったりせずにこれからの記事も読んでいただきたい。